宇宙ショーへようこそ

 続いてます。
 子供向きかというと違うと思います。アニメオタク向けの映画でございますよ。上映時間も130分越えと長く、途中ずいぶんとだれます。
 ドラえもん、その子供であるジュブナイルと比べると、脚本の気配りのなさが目立ちます。
 
 オススメできないです。
 
 そんなことを考えつつ、『のび太の恐竜』を思い出していたり。
 ラストは非常に、似てます。
 映画版よりは漫画版のイメージが強いので、あちらとの比較ですが、そこもなんだか不器用な模倣に見えます。
 もっともっっと、いってしまうと、悪い風にオタクずれした人達が子供向けの作品って…こんなの? みたいに考えつつ、作った感じ。あと、許されるところはオタク色全開で行こうみたいなのも透けて見えすぎてたいへん居心地が悪いのであります。
 
 キャラの描き分け、動機の部分も説明不足で…説明不足だと制作者側も思ったのでしょう。キャラクタが、泣きながらそこら辺を全部説明してくれるのです。プリキュアの怪物化した人の想いみたいに、もう全部。
 へにょへにょです。
 
 『のび太の恐竜』の救出相談シーンですけども…命の危険にさらされる上、タケコプターのバッテリーが干上がってこれ以上の旅が困難であることがはっきりしてしまいます。全員でその事実を確認します。そこで、スネ夫がいたってまともな意見をのべます。ピー助も金持ちに飼われるんだからそれはそれでいいじゃないか。トカゲの命に代えられるか。
 のび太は救おうという。大事な友達だから。
 ドラえもんも従う。ピー助と過ごしたし、のび太の意見だから。
 しずかちゃんもピー助をかわいそうだと思うので救う方の意見。
 ジャイアンは…というと、のび太が自分の命を救ってくれたから、自分も命をかけて救おうという。これで、スネ夫は彼の行動原理からいって救う方に回らなければいけなくなる。でも、ジャイアンはピー助を救いたいとはいってないんですね。命を救ってくれたのび太がそれほど真剣にピー助を救いたいなら手伝おうと言ってる。
 敗北を喫した後、どう復活するかという重要なシーンですが、それぞれのキャラクタをそれぞれの行動原理で動かした上で、全員の意思を統一させてる。
 
 そういうのが、宇宙ショーにはなかったんで、もったいないです。
 
 夏と少年少女と宇宙は、親和性も良く、非常に盛り上がる要素満載。『リンゴの木の下の宇宙船』とか『のび太の宇宙開拓史』、一連の笹本SF(上下巻のあれら)などなど。どうしても比較してしまうので、思い出補正のかかったそれらと比べて、宇宙ショーはあまりに力不足でますます、面白くないように思えるのでありました。