大西科学
読了しました。
以下はある特定の嗜好を持つ人には、ネタバレと呼ばれる可能性がありますので、ご了承ください。
でもでも、チャンピオンRED版にはしょっぱなから九大天王が出てくるんだぜ! といわずに魅力を語ることは困難だし。でも、知ってから読むと驚きがないし。
そんなことがこの先に書いてありますのでご注意ください。
では。
『ジョン平とぼくと』読了。
これは、魔法が日常生活にある世界のお話です。
なのに、主人公は、化学の実験が好きで、魔法の劣等生。ちょっとひねった設定になってます。
同種の設定ではおなじみポール・アンダーソンのあれが思い出されますが、近いのは竹本泉の『ちまりまわるつ』世界。学校の科目に魔法があるけれども、魔法なんて不便なので、よほどのことがない限りは、使いません。みな、基本的に自力か科学で済ませています。
で。
読んだことはないんですが、ダーシー卿シリーズの系譜に連なる小説です。
もっと言っちゃうと、本格ミステリなのです。
もっと言っちゃうと、『密閉教室』の孫にあたるような小説なのです。
高校を舞台にした青春小説+ミステリで、テイストもそれに近いものがあります。
萌えとか、アニメのパロディとかそういうのはまったくない。
嗜好も筆致も理系のそれで、森ミステリにも近いんですが、高校生の心情の機微を描ききってるところが特異。
特殊能力とか、ヒーロー的なところとかからはもっとも縁遠いところにある主人公が、ちまちまちまちま考えながら、散歩に行ったり、学校に行ったり、ペットに話しかけたりしてる ひたすら地味な小説です。
事件らしい事件が起こるまでが、結構長い。
でも、文章が巧みなのでそこが気にならないのです。
犬と散歩に行くシーンだけでも魅力的に書かれています。
えんじさんやそらたさんが好きそうな本かも と思いながら読みました。
好みはさておき、水準は非常に高い小説です。
テイストを知りたい方は、まずは大西科学のサイトをのぞいて、ご確認ください。
わたしは、大好きです。
追記
ニーブンとか、ほにゃららの第1巻も思い出しますよね。
あと、この世界の宇宙工学はものすごく発展してそう。