アメイジング・スパイダーマン

 吹替版、3Dで見ました。
 画面が暗くなるので、ときどき眼鏡を外してみてましたが、あまり問題ありません。2Dで充分です。
 吹替は、ときどき違和感のある吹替が混ざってきました。例えば、アナウンスであるとか、窓口のお姉さんとか、話しかけてくる女の子とか。
 ピーターくんは、もちろんしっかりしてるのですが、ばりばりのアクションにセリフを被せるので、これも少し気になりました。
 
 さて本編。
 
 ぱっとしません。
 どうしたって、サム・ライミ版と比べてしまうのですよー。
 
 柳下毅一郎氏がおっしゃってた「オリジン(誕生エピソード)は要らない」というのを思い出したりします。
 
 スパイダーマンらしさというのは、よく出ています。
 どんなピンチでも軽口を叩きながら、天上も床も区別なしに縦横無尽の華麗なアクションをしてました。あと、スパイダーマンの能力に、腕力が強い というのがあるのですが、かなり頻繁に出てきました。
 また、原作に準じて、ウェブは装置に戻りました。これの使い方はアイディア満載で見てて飽きません。
    
 良くないのは、やはり、プロット。
 つなぎ方もなんか妙なところがあります。
 スタン・リーの出てくるシーンなんかがもっともそうです。
 
 以前、デアデビルでもやらかしてるミスなので、余計気になったのですが、瀕死の重傷(みんなに助けられるあたり)だったはずなのに、クライマックスになったらばんばん飛び回ってる とか、そういうミスが・・・。
 さっきまで、ぎりぎりだったくせにキングピンの前になると俄然、元気になってアクションを繰り返すというあれです・・・。
 
 繰り返しますが、内容は、ちゃんとスパイダーマンになってると思います。
 
 ヒーロー物で、問題になるのは、「正義の味方」の位置づけ。気をつけないと、正義の味方ではなく、単なる悪人にとっての敵というだけになっちゃう。
 今回は、この「悪人にとっての敵」という要素が多くて、あまり正義の味方ではありませんでした。これが、パッとしないな という印象につながってます。
 最後の最後になって、ようやくリザードマンが市民の敵である という状態になるのですが、あまりに遅すぎますし、そこに至るまでは「ちょっと町中で暴れただけの怪人」でしかありません(誕生秘話をやっているのでどうしても、そこまでたどり着くのに時間がかかってしまう)。
 そこら辺で、ちょっとせこいというか、みみっちい話に見えてしまうのであります。
 
 スパイダーマン2なんかは、この問題を一番うまく処理してて、市民全員が脅かされていることが割と早めに提示されますし、スパイダーマンが市民の味方であることにも納得がいきます。
 
 新スパイダーマンは、そこら辺が納得のいかないところ。みんながスパイダーマンを助けようと、やっきになる2と同じような展開があるのですが、そこまでしてあげたくなるようなエピソードが足りないので、唐突な感じがします。
 
 エピソードのほっとかれ方も多くて、続編で処理するつもりなのかも知れませんが、なんだかすっきりしません。
 
 
 
 サム・ライミ版が石ノ森風ヒーロージャンルのスパイダーマンだったのに対して、もっと個人的なヒーローになってます。世界のために闘う のではない。
 家族や恋人や、もっといえば自分自身のために闘ってる。
 そのせいで、傷ついたりもしてるのですが、力に責任が伴うんじゃないのか、おじさんのことはどうしたんだというのが、念頭にあるし、サム・ライミ版はそこがきれいだったので、あのラブラブな展開を見てると、自業自得じゃん と思えたりします。
 あんまり、同情できない。
 感情移入できない。
 
 
 
 リア充死すべし。
 で、ありますよ。
 
 そして、絵の具の缶倒され少女は、たいへんステキでした。