『都市と都市』

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)

 ひとつの場所に、ふたつの都市が重なるように存在する。
 互いの都市の住人は、互いの存在を無視することを義務づけられ、そのように育てられる。
 
 そこで、殺人事件が起きて、刑事がいろいろ調べるという、ミステリです。
 『ユダヤ警官同盟』と同じで、設定はSF的ですが、語り口と手法は伝統的なジャンルミステリのそれです。
 
 
 ミステリなので、登場人物一覧を付けて欲しい。
 早川ミステリから出てれば、付いたのに。
 
 このお話の主人公は都市で、その部分の描写をそれはもう、堪能できます。
 一方で、オーソドックスすぎるミステリなので、中盤はちゃんとだれます。
 
 読後感がいいのですが、なにかこう、自分の好みからするともうひとつ突き抜けるものがありません。構成は隙のないもので、足しても引いても駄目なような気がします。
 ほかの人と、いろいろこの本については話してみたい。読書会が関西ではあったようですけど・・・。
 
 不満の原因のひとつは、多分、賞をとりすぎてるトコにもあると思います。