わたしのわたしの彼ーはー♪ アメコミの読みづらさ

 
 電車のつり広告を見ておりましたら、主人公が左手でこちらを指さす決めポーズをとっておりました。
 『QED』の主人公なんかがよくこのポーズをとるのです。たまに右で指さしますが、この時、構図は違ってる。つまり、演出で左手を使ってるのであって、左利きではない。
 『逆転裁判』はあれはまた違った技法ですが、金田一少年なんかも左手でこっちを指さしてます。
 
 先日、HEROESを見ておりましたら左手で人を指さすシーンがありました。はてさて、あれは演出なのか。左利きなのか。
 続きを見るときには、電撃とばしたりする能力者も右か左か気にしてみてみようと思います。
 
 そうそう。
 らきすたのヒロインは左利きが多いんですが、あれはものを描いているシーンや勉強シーンが結構多いので、理に適ってると思います。
 右手が体で隠れがちだから、左利きにしないと、やってる作業が見づらい。

 コブラ、ゴクウが左に秘密の武器を持っているのもこれが理由なんでしょう。
 刀は腰の左側にはきますけど、あれがサウスポーの剣術使いだときっと絵にならない。
 ところで、正義側は画面の右手から出てきて、悪は画面の左手から出て来ることが多いですよね。だからなんでしょうか、ターンエックスのお兄さんは、逆の右手に武器があります。
 あれだと背中の武器をはずしてとりまわすのも大変そうなんだけど、どういう意図なんでしょうか、シド・ミード先生。
 
 
 
 
 本題です。
 横スクロールのシューティングゲームなんかは、右へ攻めていきますよね。
 でも、日本のマンガは左へ攻めていく。敵は左から出てくるし、ページも右から左へ読む。
 演劇論はよく知らないのですが、これも上とか下とかあるそうです。
 同じ理屈があるのかな。
 
 えーと伝わってるでしょうか。
 アニメのヤマトopとか。
 ヤマトが出るときは画面の右下から出てきて左もしくは手前へ来ますよね。
 下がるときはその逆。
 敵は画面の左側から来る。
 これがセオリー。
 
 
 それで。
 アメコミはとじが逆なので、バランスが悪いんじゃないかと思うわけです。
 左から右に読み進めなきゃいけないのに、右の方から味方が出てきて、敵が左から出てくる。読み進める方向と逆になる。
 見開きの大ゴマなんかも、バランスが悪い。
 左側手前に背中を向けた敵キャラ、右奥側に正義の味方がこっちを向いてる画を描いたとします。このとき、台詞は左から読むので、敵の台詞から入ることになる。これが違和感を生じさせてしまう。こういうコマなら「遂に追い詰めたぞ、**!」と正義の味方にいわせて、敵キャラに「ふふふ。飛んで火に入る夏の虫とはおまえのことよ」という順序で話を進めたいのに、敵キャラの吹き出しから読ませなきゃならないので、妙なことに…。
 
 アメコミが読みづらい原因のひとつは、こんなとこにあるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
 
 
 んじゃ、逆に左側から正義の味方、右から悪が出てくればいいんではないかと思うんですが、これもむつかしい。
 基本、正義側の方をたくさん描くことになるんですが、これをほぼ全部、右向きの顔にしなければいけない。
 ところが、右向きの顔は右利きの人には描きづらいのであります。左向きの顔なら、肘を固定して、ストロークで描けるんですが、右向きだと肘ごと動かさないと描けない。つまり、作業量が違って来ちゃう。だから、これも難しい。
 
 ジム・リーなんか特にそうですが、正面顔が多くて、かつデッサン技能が高い人がアメコミ作家に多いのは、無茶な画面構成、設計を強いられるからではないですかね。
 戦闘シーンが日本のように進化しなかった原因のひとつもここらにありそうです。
 
 早川さんが、アメコミネタだったので、ちょっと便乗してみました。
2009-10-20 - coco's bloblog - Horror & SF
2009-10-22 - coco's bloblog - Horror & SF
 きっと、早川さんならシドニー・クロフト『嵐を呼ぶ絆』も読んでる。
 ぼくはそう信じてます。
 
 そしてもうひとつ。
 今日は、『フロム・ヘル』のトークショウがあるのに、いけないのです。
 チケットがとれなかったのです。
 ぼくのような人間こそあそこに行くべき、いけるべきなのです。
 ああ、うらめしい。
 アラン・ムーアフロム・ヘルトークショウに行ける人間よ、非モテになーれ。
 
 
 呪いをかけたらちょっとすっきりしました。