「集団主義」という錯覚
- 作者: 高野陽太郎
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2008/06/25
- メディア: 単行本
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表紙にある絵は、じっと見ていると、だんだん拡大してくるように見えてくるというもの。錯覚させる絵です。
中身は、非常に丁寧な検証もの。
日本人は「集団主義」。
アメリカ人は「個人主義」。
これが常識のように言われてるけど、実際にはどうなのか ということをきちんとした手順で一つずつ検証していく本。
その由来はどこから来ているのか。なぜ、その説が流布しているのか。どういう実験なら「集団主義」でないことが証明できるのか。
こういうことを検証していくわけですから、結論としては、日本人は集団主義なんかじゃないということになるんですが、それがなかなか読ませます。ミステリ的に読んでも結構行けます。
宇多丸氏も、番組の中で言ってますが、身近にあるものでいえば、血液型占いというのがどうして受けいられるのか、という部分 メカニカルなものがかなり明らかになります。具体的にはバイアスにどのような種類があって、どのようにそれがかかっていくのか というところを平易な文章で、説明してくれます。
そう見える ということと、そうであることは違う ということ。
ニセ科学に興味があって、その現象面ではなくて、その派生過程や自分で出来る検証方法や思考方法を身につけたいという方におすすめ。
ミステリ的にも読める と書きましたが、誰もがそのように勘違いしていく経緯が明らかになる部分はエンタテイメントにもなっています。
いい加減な書き飛ばし新書とか、インタビューだけで一冊といういい加減な本ではなくて、きちんと論文・原文に当たって書かれたちゃんとした本です。参考文献、注釈、索引だけで指一本分の厚さがあります。
ところで、アメリカ人が日本原作のものを映像化すると駄目になる というのはバイアスがかかっているのではありませんか。
『ドラゴンボール』、上映したら見に行きましょうね!