マンハッタンの戦慄

 始末屋ジャックシリーズの第1巻。
 逃避行動にて読了しました。
 ハードボイルドと妖怪ハンターの合体なんですが、主人公からして異界のものを信じていない、見たことがない というのが特異。
 綿密に書き込まれた主人公の設定と苦悩が、凡百の妖怪ハンターものとは違います。特殊能力ではなく、なけなしの知恵と勇気を振り絞ってしのいでいくところがいい。ちなみに、妖怪や神様に関する知識もほとんどもってません。ただ、ただ、マンハッタンのもめ事を解決し、生き延びていく手法を知っているに過ぎないのです。
 
 定番のシーンでも…、例えば大切な人の危機に駆けつけようとするシーンでも、警察に捕まってはもともこもない と、かえって交通ルールをきちんと守る などの描写で、感情的でない理性的な主人公を非常にうまく描写しています。
 バトルシーンなども、ホラー映画、ヒーロー映画の定番に陥るのではなく、主人公ならではのしのぎ方をしているところが面白い。
 なるほど、これは人気が出るはずだなあ と思ったのですが、次はどれを読めばいいのかが分からず、難儀しております。
 ナイトワールドものに近寄ってはいけないとか、短編で読まなければいけないものがあるとかいわれているのですが、さて。
 

マンハッタンの戦慄〈上〉 (扶桑社ミステリー)

マンハッタンの戦慄〈上〉 (扶桑社ミステリー)

マンハッタンの戦慄〈下〉 (扶桑社ミステリー)

マンハッタンの戦慄〈下〉 (扶桑社ミステリー)

 ところで、扶桑社の潜水艦ものは来年に延びたそうです。むー。こんなに延びているのは、なぜかしら。