ストレンヂア

 脚本について。
 少年が追われる理由であるとか、凄腕で名無しの剣士が剣を封じている理由であるとかは、割と陳腐であろうかと思うのです。
 が、ひとりひとりの思想、信念を丁寧に追っていき、そこから離れた行動をさせないので、ストーリーに説得力があります。このルールにのっとった上で「そう来るか」と思わせる展開はむずかしそうなんですが、それも出来てしまっている。
 起承転結で話が盛り上がるのと、全員のキャラクタの心の問題がそれぞれに解決に向かうタイミングがシンクロし、クライマックスで解決に至っています。
 
 どれも基本的なことなのですが、職人芸的にきれいに纏め上げてあるのに、大変感心しました。
 多分、きちんと表にまとめて、計算して作っているのでしょう。
 
 アクションについては、王道で直線的な主人公の動きに対して、トリッキーで幻惑的な動きのライバルを採用し、その対比を十分に表現できる舞台を選んでいます。画もすごいんですが、そういう部分もすばらしい。
 
 余計なものは排除してあり(お色気要素や魔法的要素は皆無に近い)、心に残るものもさほどない娯楽に徹した映画。アクションがすごいので、見返したくなる要素もありますが、ちゃらちゃらしていない骨太のアクション映画を見たい方にオススメ。
 
 もひとつ。
 音楽がいい仕事をしてます。
 曲もいいですが、使われ方もいい。
 序盤、あの曲が流れ始めた時点で心をわしづかみされました。
 曲で捕まったのは、『スーパーマン・リターンズ』以来です。

ストレンヂア-無皇刃譚-オリジナル・サウンドトラック

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獣兵衛忍風帖 [DVD]

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スーパーマン・リターンズ・オリジナル・スコア&予告編

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