一人の男が海岸で泣く

enzi2007-09-10

 一人の男が海岸で泣いている…。
 そこにあるSF作家が通りかかりました。
「なんで、そげに泣いちょうや」
「よくぞ、聞いてくださいました。こちらをごらんください」
 泣いていた男はひとつの人形を懐から取り出しました。
「何? めげたんか?」
「いえ、あまりに凹凸がないので、どちらが前で、どちらか後ろか分からないのです」
「こんだらずが。そげに泣くこたないが」
 そういうとSF作家はボールペンを取り出し、自分の名前をその人形の胸に書きました。
「こーでいいが。俺の名前のある方が前だが」