復活と死
自分の未来について、すでにある程度の予感があったのかもしれない。われわれの前には鎖され錆びついた門が立ちはだかり、その忍び返しの刺の間を、峠を越える山道のように河霧が流れていた。あの情景が、自分の流刑の象徴としていまだに心に残っている。だから、拷問者の徒弟であったわたしセヴェリアンは、あの溺死しかけた水浴の結果をもって、この物語の発端とするのである。
というのが、『新しい太陽の書』の書き出しです。
タイトルがいきなり、「復活と死」で、ここまで直接的だったかと意外に感じました。
「鎖され」の部分は、原文ママです。これであってるのかしら。
翻訳はアシモフなども手がけている岡部氏。最近ではマーティンのファンタジー『氷と炎の歌』で知られる方で、そちらの翻訳による忙しさのせいで『新しい太陽の書』の続きが出ないという話をどこかで聞いた記憶があります。もし、5巻を訳している翻訳家というのも岡部氏なら、マーティンの翻訳も遅れてしまう という推測が成り立つのですが、どうなのでしょう。
今でもたまに思い出すのですが、会社の先輩が同書の5巻・原書を買ってきまして
「…Shipと書いてあるのが、宇宙船なのか、船なのかわからん」
とかいって、あっさり挫折しておりました。
ふたりで
「国書で出しなおさないかねえ」
「古書価、高いですよねえ」
などと、ぼやいてもおりました。