鉄腕アトムの最期

アトム今昔物語 復刻版MFコミックス...
 『アトム今昔物語 復刻版』が出ててびっくり。
 鉄腕アトムのラストエピソードがすべて収録されています。
 わたしと同世代の人は、サンコミック版でご覧になったかと思いますが、手塚自身がこれの序文で、導入部を丸々書き替えたと言っております。
 しかし。
 翻訳家の内田昌之氏が以前、書いてたのですが、アトムが・・・・完全に死んでしまう部分のエピソードがまるで違うそうなのです。
 今回、読んでみてびっくりしました。
 サンコミック版と、連載版ではアトムの壊れ方、意味合いが全然違います。しかも量がすごい。30ページ以上違ってるんじゃないか。

 ここからは、感想です。
 やや、ネタバレ。
 サンコミック版を読んだとき、アトムの誕生にアトムの意思が関係してこないということが不思議でした。どうにも納まりが悪い。
 連載版は、この点がまったく逆で、アトム自身の意思でアトムが誕生する。そして、アトムの願いであるロボットと人が仲良くできる世界を作りたいという意思が引き継がれていく。
 テーマ的にはだから、後者のほうが正解だと思います。
 でも、刷り込みなんでしょうか。私には、サンコミックのほうのあっさりした終わり方、無常観の方が良いように思えます。
 みなさんも読み比べてみてください。

 なお、名作といわれたGBAのゲーム『アトム・ザ・ハート』はこの部分までもきちんと踏襲してます。『PLUTO』と方向性こそ違え、やはりポテンシャルは同等以上のものがあります。ほんとに埋もれた名作です・・・・。