X−MEN ネタバレ感想

 どうも風が強くていけません。
 洗濯物は飛んでいくし、自転車も走らない。
 なんとかして頂きたいものです。
 
 さて、X−MEN ファースト・ジェネレーションです。
 監督はあの、『スターダスト』『キック・アス』のマシュー・ヴォーン。
 同じ監督だとは知りませんでした。
 見たのは『スターダスト』だけですが、原作付き、アメコミがらみ(ゲイマン原作というだけですが)がこれだけあるのですね。71年生まれですから、35歳はとうに過ぎてます。
 
 メタルギアソリッド3のようだと小島監督(ベタほめでした)もファンも言ってて、その通りだと思います。
 
 お話は、エグゼビア教授とマグニートーの出会い、そして別れまでを60年台を舞台に描くというもの。
 前情報なしで見に行きましたが、007風のスパイアクションになっていました。お題はキューバ危機。
 
 画面の隅々まで作り込まれてて、見やすい。
 右端から左端までスクリーンに映るものがすべて楽しく、きれいな映画でした。
 
 造りは、ゲーム『ゴッド・オブ・ウォー』を思い出させます。
 どこまでもどこまでも、作り込み、遊びやすくするということで遊びの快感を提供することに徹底する。
 そういうやり方です。
 
 
 ですから、お話もそうで。
 曰く付きの過去をもつ二人が出会い、友人になる。
 一方で、世界に危機が迫っていて、二人は事件に巻き込まれ、仲間を集めるものの惜敗。世界の危機が迫る中、特訓して、再び闘い、そして勝利する と、流れは至ってオーソドックスです。
 
 でも、ここが本当に良くできていて、特撮列伝の言葉を借りれば、伏線を出すとすぐに回収する というテンポが良くて、120分越えの映画なのにちっともそうと感じさせなかった。 という風。
 
 超能力などの描写についてのセンスもいい。
 これだけの能力持ってたら、こうすれば楽勝じゃないの? というところには、ちゃんと制限がある。で、ないところについては、最大限 頭のいい使い方で効果的な攻撃をするのです。
 テレポーター攻撃については、ベストと思われる使い方をしてて、中二病だった自分が夢想した手法がそのまま出てて、感激しました。
 
 あとは細かな隠喩。
 Xがそこかしこに出てくるとか。
 あとは、陰陽、明と暗。
 アメリカとソ連マグニートーとプロフェッサーXなどいろいろ。
 序盤から非常に細かく出てきます。
 母親の愛を受けられない裕福な家庭の子供、プロフェッサーXがホットチョコレートを提案される。一方、母の愛を受けて育つも、収容所に入れられてしまったマグニートーは板チョコを提案される などなど。
 ここら辺が、無理なくそっと、提供されてくるんです。上品です。
 
 X−MEN絡みのお遊びは多分、たくさん入ってると思うんですが、おおむね、知らなくても大丈夫。
 でも。
 例えば、チェスやチェッカーが何度か出てきて、それが二人の間に置かれてたりとかは、闘いを意味してもいるし、冷戦を意味してもいるし、映画の3ラストからつながってもいるし、と いろいろ夢想できたりするので、見ると良いでしょう。
 
 地味な俳優を使っているせい(でも、いい顔と演技の俳優ばかり。ときにチャールズのつい頭髪が心配になってしまう あの頭!)か、あまりヒットしなかったと伝え聞きますが、エンタテイメント映画の王道を繊細な心遣いで突っ切っていく傑作でした。ブルーレイが出たら見返してみるつもりです。
 
 
 疑問点がひとつ。
 本来、サイクロップス(スコット・サマーズ)の弟であるハヴォックがあの時代に出てきてましたが、あれはどういう位置づけなの? スコットの父なら、途中で出てきた少年サイクとの年齢差が微妙。
 不満点も一つ。
 エマ・フロストはもっと ぼん・きゅっ・ぼーん なイメージ(『WILDC.A.T.S/X-MEN 』)なので、ちょっとやせすぎ。