『春琴抄』

 谷崎潤一郎なんていままで読んだことが・・・あったかな?
 アイスクリームによだれを混ぜてかき混ぜて、これがおいしい食べ方よ っていうのは、谷崎?
 
 奥泉光×いとうせいこう の文学漫談。
 ふたりとも、SF作家だし・・・というので、聞きに行ってきました。
 
 でも、本になるはずなのであまり詳しく語っても仕方がないのですな。
 
 そもそも、内容をあまり覚えてないです。
 えっと・・・。
 関係ない話の方、覚えてます。
 奥泉光先生のところで花見をしようということで、小規模の花見会をしたのだそうです。家の中でやってたみたい。ワタナベさんという人がお客さんとしてきてて、去年は立ち上がるときによっこいしょ と、ちゃぶ台に手をかけたので大惨事だった とか。
 今年はどうかというと、うっかり開けたドアから猫が逃げ出してしまったというお話。そろそろ日が暮れる時間。最近、なかなか帰ってこない猫さん。心配で仕方がないワタナベさんは近所の公園へ靴下のまま飛び出していき、公園でベンチに腰掛けているカップルに片っ端から「ここら辺で猫を見ませんでしたか」と聞いて回ったという・・・。
 
 ヘンなの。
 
 本編は、大谷崎の文体がいかに素晴らしいかを語りすぎて、後半は駆け足でした。
 笑ったのは以下のくだり。
「でも、あきらかにおかしいとこもあって」
「ほう?」
「泥棒が入って、やけどさせたんですよね。家に侵入して、お湯涌かすなんてどんな泥棒だと」
「しかもあの時代だし。カップ麺作ろうとしたわけでもないし」
「そう、あの時代だからものすごく時間かかりますよね。なんで、泥棒はそんなことしたんでしょうかね」
「「オモシロケレバイインジャヨ・・・」」
「は? 今のは?」
「谷崎先生です。谷崎先生がおりてきたのですよ」
 
 なにかAAが一瞬、被って見えました。
 
 
 『春琴抄』は、墓場を訪れた人物の視点で語りが始まります。で、資料本があることになってる。
 で、すごいのはヒロインが美人だとはなかなか書かないとこなのですね。古ぼけた写真が一枚残っているだけとか、周りからせめて浮き彫りにさせていく。映画とかにもなってますけど、なかなかねえ。しかりつける場面なんかも一度、口語で書いてからそれを文語で再現するなど、凝ってる。
 ・・・という風なお話がありました。漫談のメインはそういう文体とかのはなしでしたね。それで思ったのですけど、酒見賢一後宮小説』は、『春琴抄』を意識して、逆をやったんじゃないでしょうか。架空の本が出てきて、文語と口語、両方で同じシーンを表現するとか、目につくのはそんなとこ程度ですけども、いかが・・・。
 
 
 
 
 という風な話を、SFファン交流会の2次会で話しましたら、私以外にもやっぱり、ひとり来てたみたいです、漫談に。女性です。女性ファンが多いのです。
 そこから、女性陣では谷崎トークがちょっとありました。
「『春琴抄』!」
「こう、目を、ね」
「「きゃーっ!!」」
「ステキよねえ」
「あそこ、ちょー盛り上がりますよねえ!」
 そんな感じで盛り上がっておりました。
 女の人、怖い。