片淵監督 『マイマイ新子と千年の魔法』の話

 

 「せかっく前売り券かってもさあ、見にいきたくっても、サラリーマンが行ける時間にやってないじゃないか」
 こちらとしてはフィルムを完成させるまでが監督としての仕事、宣伝や配給はおまかせするつもりでいたので、劇場がどうなっているのか全然知らないままでいたので、このメールにはちょっと驚いた。
 調べてみると、最もメインの劇場である新宿ピカデリーでは、夕方17時台からの上映が『マイマイ新子と千年の魔法』の最終になっていた。これではたしかに勤め人の方に観にいってくれとはいいにくい。すでに自分の手元から前売券を売ってしまっていたのだから、これじゃあ俺は不渡り手形出したみたいなことになっちゃうよなあ、などと思っていた。
 それが公開第1週の話で、第2週からは夕方の上映もなくなってしまった。
 「なんとかならないでしょうか?」
 と、配給サイドに聞いてみたのだが、「もう結果の出ちゃってる映画だから」、そういわれた。
 シネコンのシステムでは、公開から最初の2日の動員で以降のスクリーンの増減が決まってしまう。2年間かけてヘロヘロになって作った映画です、といくらこちらがいってみたくとも、そんなものは通じないのはわかっている。
 3週目からは、上映は朝の9時からの1回きりになってしまった。これでは、もう誰も見にきてくれることはあるまい。

 配給サイドの人…。