それは先週のこと・・・
ニンテンドーDSi用のダウンロードソフトで上下巻、合計1600円のイラスト練習ソフトが出ました。
筆の置き方、下書きの仕方、影の線、塗り方等について、動画付きで教えてくれる非常に実用的なソフト。
使ってると、ほんとにきれいな絵が、誰にでも画けてしまう というびっくりソフト。
そんなわけで、電車の中でも練習してたのです。
ちょっと仕事が詰まってたのでいつものより早めの通勤電車に乗りました。
後で知ったのですが、山手線かな? その日はトラブルがあって、電車は混んでました。
みんなピリピリしてる感じ。
私は座ってプレイしてたのですが、乗換の駅に来たので降りようと・・・しました。
が、込んでて出口までいけない。
なんとか! と慌てると余計に進めない。
ぐいぐいと体を押し込み左右にひね・・・れない!
ベルトのループが、他の人の通勤鞄に引っかかったのです。
あわてて引っ張ったのですが、完全に食い込んでてとれない。
引きちぎることもできない。
そうこうしている間にドアは閉まり、電車は発進してしまいました。
あせって、もう一度グイとひっぱると、かしゃん と乾いた音がしました。
DSがポケットから落ちたのです。
ガタンガタン。
電車は揺れます。
乗客の体はそれにつれて揺れ動きます。
誰も、足下にDSが落ちたことに気がつきません。
しゃがめ・・・ない。
鞄とベルトがくっついていて、駄目なのです。
足で、なんとかDSをたぐり寄せる。
寄せ、寄せ・・・。
何とかそこまではできました。
しかし、持ち上げるのは無理です。
足で挟んでおけば、少なくとも踏まれる心配はないのですが、ビジネスシューズでそんな器用なまねはできません。
となると?
足で抑えておくしかありません。
踏んでおくしかないのです。
しかし、そうすると、今度は自分で踏んで壊してしまいかねない。
満員電車の中、ちょっと揺れれば誰もが、バランスを崩し、寄りかかってきます。
片足でそれに耐えられるのか。
何とかしなければ。
ベルトループを外そうとがんばるのですが、やはり外せません。
それどころか、周りから奇異の目で見られているような気がします。
脳裏に浮かんだのは、ベッキーの顔と映画『それでもボクはやってない』のワンシーン。
しかし、猶予はあまりありません。
次の駅に着けばどっと、人は動きます。
そうなれば、DSはよくて蹴り出され、悪くすると踏みつぶされてしまいます。
ああ、いま、**駅を通り過ぎました。
早めに出たし、別ルートで会社には行けるから、それはいいのですが、次の乗換までせいぜい3駅。
やむを得ません。
もう一度。
今度は今までより思い切り深くしゃがみました。しかし、手はDSに届きません。
もう少しなのに。
そのとき、視界の隅にピンク色のものが見えました。
あれは・・・。
DSのペンです。
部屋がどんなに散らかっていても見つかるよう、ピンクの機体にしていたのが功を奏しました。
しかし、あそこまでは2,3人先。
絶望的に遠い距離にあります。
どうしたらよいのでしょう。
しゃがんでから、そう認識するまで、ほんの一瞬のことでした。秒数にして1秒にも満たないでしょう。
そして次の瞬間、私はさらなる深い絶望の海に放り込まれたのです。
ピンクのペンのさらに向こうに落ちているもの。
あれは・・・高嶺愛花!
いや、『ラブプラス』!!
と、友達が言ってました。
続きません。