15×24
マーゴ・ラナガンの名前には聞き覚えがありますが、もう一方は記憶にないです。
15×24 link three 裏切者! (集英社スーパーダッシュ文庫)
- 作者: 新城カズマ,箸井地図
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2009/10/23
- メディア: 文庫
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ううん…。
現代海外ミステリ的な面白さがある本です。
大ヒットしてた『ボーン・コレクター』とか”そういう”方向。
作者 新城カズマ氏の蓬莱学園を含むSF作品はほとんど全部好きで、一方、同じ作者のマリオンを含むファンタジーはほとんど苦手としてる私には、これはほんとに半端なとこにあって、ううむ とうなってしまう。ミステリは、短編と長編を一本ずつ読みました。
新城カズマの面白さというのは、論理的な妄想力にあるのです。
『九マイルは遠すぎる』みたいな。
処女作の蓬莱学園からして、そうです。***な少女がいる。しかし、そんなことはあり得ない。だが、もし、そんな少女がいるとしたならば…という、論理的妄想推理が積み重なって、ついにはとんでもない結論に至ってしまうという。
これが、大長編で、しかも現実ものだと味わえない。もしくはなかなか出てこない。
あと、蘊蓄も魅力ですよね。
進化という訳語が良くないとか。
なのに、今回はインジャン・ジョーくらいしか出てこないです。
他には、妄想システムのすさまじさ。
妄想蓬莱経済学とか。
妄想発明コンピュータ・ニルス(これは現在の翻訳システムの本流のような…)とか。
そういう妄想オリジナル・システム。
Googleがこのまま行くとこうなってしまうよ妄想とか。
本作にも、いくつかは移植されて来てるのですが、封印されてるところもあって、ちと物足りない。
一方で、嫌いなクセはそのまま残ってるのです。
理由を過去の経験で説明するのはやめましょう。
こういう辛い過去があったからこうなのですパターンが大嫌いなのに、今回はオンパレードなのが、いや。
うう、つらい。
イラスト・表紙が良くないのは前にも描きました。
だって、表紙を見てもワクワクしない! どういう展開か想像してつい手に取ってみるような表紙ではないし、1巻2巻同時刊行のせいで、6巻まで想像がついてしまう…。
そもそも、なぜ、中村博文でないのです。スピルバーグにジョン・ウイリアムス。宮崎駿に久石譲。新城カズマに中村博文でしょう。50歩譲っても鶴田謙二で。だれかもっとちゃんとした遅筆イラストレーターに描かせましょう。締め切りに間に合うようなやわな奴じゃダメです。バベルのあれは何です。文章と画に矛盾があるではないですか。ぷんぷん。
多分、初めて、新城カズマを手に取る人にはものすごく面白いんではないかと。
でも、それは、山本弘の神様の本を読んだときと同じで、自分には集大成 兼 焼き直しに見えるデスよ。確かに傑作ですけど、それは前作を一通り読めば書いてあるので、その先の新しいのを読みたいのです よ。
と、ここまで書いてきて思ったのですが。
これは、『私の大好きな新城カズマについてにわかファンのあなた方が好き勝手書いて良いものではありませんよ』という嫉妬心であるかのような気もします。むにゃむにゃ。