大ネタバレ『ハーモニー』
自分には傑作かどうか判別がつかない…。
悪意を持った冗談をやる人なので、本気なのか、冗談なのか、さっぱり。
あと、同年代で読んだもの見たものが、フィクション・ノンフィクション問わず近いせいか、新しい発見がなくて「あれをこっちに持ってきた」ものが多いように見えるのです。見えるだけの可能性は大いにあり。でも、ハルヒとかのネタが仕込まれているので、余計に悩んでしまいます。
意識についての話、人格の中で行われる多数決についてはどこかで読んだことがありますが…。
例えば、山奥に隔離されて生き延びた人種がいて、それが次世代人間のモデルとなるというのは小松左京の有名小説を思い出させますし、他にもイーガンぽかったりウォッチメンぽかったり、EVAの人類補完計画ぽかったり、そもそも全体の構成が(以下は大森望氏の指摘)『虐殺器官』とまったく同じだったりと、けったいな小説なのです。
なんだかよく分からない事件。
暗躍する影。
火曜サスペンスばりに影と対峙。
どかーん。
なのです。
飯田氏は、キーワードについての説明部分とかそういうのは読めるんだけど、小説のようにスジやキャラクタを追いかけられなくて読むのにものすごく、苦労したといってたような(けなしてるわけではないです)。
私もそんな感じです。
オチですが。
全体としての巨大知性が生まれる。
とも、とれますし
「ススムちゃん大ショック」の伊藤版とも読めます。『トリフィド』『夜来たる』『悪い夏』とも同じで、WatchMeを入れていない一部の大人と、子供たちはそのまま生き残ってしまうのでは。
ここら辺は古くさいホラーにはよくあるんですが、ええと、ほら、大人の通過儀礼が実は みたいなの。
そこを新しく今風に語り直してるからいいんだ! ブギーポップとかそうでしょ! という意見はそう。まさにその通りなんですが、どのパーツもどこかで見たパーツに見えてしまう(メタルギア含む)のと、作者が大変イジワルなひとなので、どう受け止めるのが「正解」なのかが全然分からなくて…。
傑作?
ど、どうだろう…。と感じてしまうのであります。