「ボクラノSF」の部屋

 ええと、名前を忘れてしまいましたが、福音館書店で、事実上 このレーベルを一人で切り回してる若手SF編集者の人と、クレジットはされてなかったかもですが、相談役だった大森望氏の解説で話は進みました。
 
 さあ、もう、全然話を覚えてませんし、途中 寝ぼけてたので、勘違いがあればどしどし訂正してください。
 
 さて。
 
 その若手編集者の人ですが、そもそもは他の出版社に勤めてたそうな。
 年は、多分、例の47年組の前後。独身男性。さわやか醤油顔の草食系です。
 名古屋出身だったような。
 
 出版業界からの転職で、土曜日にのぞいてみたら誰もいなかったのでここにしようと決めたのだとか。しかし、それが幸運の始まりだったのです。
 某・モト編集者曰く、日本でも最も時間給の高い出版社なのだそうです。組合が強く、7時になるとみんな帰宅しちゃうんだとか。その話にどよめく観衆。う、うらやましい…。
 
 最初の1年目は文庫を2,3冊作ったのだそうです。
 で、その後、このレーベルに携わることに。
 
 ここからが超うろおぼえですが、前後の話からすると、こんな話だったのではないかと。
 
 …中野ブロードウェイの古本屋か何かで(まんだらけかしら)、何か見かけて、それがきっかけだったとかなんとか。長 新太 画のSF本をみかけたのかしら。それが、『海竜目覚める』?
 で、これを出したいと考えるも1冊だけ出すのは難しく、それならレーベルにしてしまえばいいのではという発想。
 おや。なんで、大森氏へ相談がいったのかしら。
 
 そんなこんなで、上司の人と相談しながら作ることに。
 その人というのが、なかなか昔のSFや特にロシア系に詳しい人だったので、いろいろ教わったり。
 教わったことのひとつが、なんと
 
 ヤフーオークション
 
 知らなかったんですって。
 どこの箱入り息子だ。それで、その上司という人から手取り足取り教えてもらって、オークションに参加して、旧いSF本を落札したり、あるいは出品されているのを教わったり。
 ちなみに、その上司というのは女性。
 そいで。
 落札すると、上司の人からお祝いメールが届くのだ。
 「落札できたようですね。おめでとうございます」
 ふたたび、どよどよっとどよめくSFファンの人。
 いや、だって、ねえ。SFファンとして生きるためには、誤解を受けるかも知れないと知りながら吾妻ひでおの旧い作品を落札したり、イアン・ワトスンの名前が出てることを確認するために『少女セクト』を購入する必要があるわけでしょう? それを、わかってないのです。いや、そういう発想が彼にはないのです。ちょっと、汚れなさすぎだと思いません? 『ハヤテのごとく』が男女逆バージョンだったら、ヒナギクの位置に立てそうですよ?
 
 それで、女上司にずっと見られているというのですから、その場にいた人は多分きっと『極楽大作戦』の横島みたく、大竜姫さまみたいなのを勝手に妄想してやられてしま…。
 こほん。
 何の話でしたっけ。
 
 そう。
 その上司というのは、還暦の女性だそうです。
 
 はい次。
 
 今回は、「ボクラノSF」シリーズは3冊出ましたが、祖父江氏にデザインを任せています(ここで、極秘情報がひとつあったのですが、秘密といわれたので秘密です。)。そう、あの小学館X−MENの祖父江氏。力任せにデザインの腕をふるいまくったせいで…、同じシリーズなのに、3冊とも造りが違うのです。目次とかそういうレベルでなくて、紙質、紙の折り(というのかしら。でこぼこだったり波の紙がありますよね)カバー下の作り方とかが、もう全部違う。すごい気合いの入った本でしたよ。
 あと、変わった特徴としてはもう一つ。
 台詞だけ、フォントが変えてあるのです。
 いろいろ読みやすさなども考えたデザインになってるんですな。
 
 というわけで、ビブリオ・マニアの人は、一度手に取る価値のある豪華な本になってます。
 あの値段で大丈夫かしらと、こちらが不安になります。
 
 でも…。
 ここが、福音館のもひとつうらやましいところですが、そんなに無理してすぐに利益を出さなくてもいいんですね。何年もかけて結果を出していったり、レーベルを育てていくのですから、あまり出だし良くなくてもよいのです。
 
 とはいえ、結構 好評だったようです。
 意外なのは、年配の方からの感想が多かったこと とか。
 結構、珍しい反応らしいです。
 
 実際には、新年度が始まって、これから学校図書館とかに入れていくので、本格的に伸びるのはまだ先だそうです。なるほどー。
「…と、なると、カバー下に懲りまくった祖父江デザインが図書館では生きないのでは?」
「あ、そういえばそうですね。考えてませんでした」
「これはどこまで決まってるの?」
「や、まだ全然決まってなくて、これから…。むしろ、みなさんのアイディアを」
「ふうん。図書館に入れるんだったら、完結してないとまずいかもねえ。完結するまで何年もかかるシリーズなんか、完結してからようやく図書館が購入に踏み切ることもあるから」
「え。ほんとですか」
「だから、第1期とか、そういう風に切ってさ」
「あ。そういうことだったんですか。でも、第1期とかって、ドコで切れば?」
「いや、好きなとこ出来ればいいんだよ。売る側の理屈でさ」
「勉強になります。もっと、教えてください」
 みたいな。
 分かりますか?
 ほっとけないでしょう。
 
 ドジッ子属性とは違うと思うんですが。
 
 ほいで、どうやら賃金も高いらしく、安定した企業に勤め、帰りも早い…。
 「おれならマジンガーZを空から攻めるね」みたいな感じに「結婚するなら、『ボクラノSF』の編集者の人だね」といいたくなるのも無理からぬことでありましょう。
 …ありましょう?
 
 
 
 
 続くかも知れない、続かないかも知れない。
 
 レーベルの続きとか、高校時代の放課後とか、ビブリオマニア対営業とかそんなのをまだ書いてません。