スパイ

地球帝国秘密諜報員―ドミニック・フランドリー (ハヤカワ文庫SF)

地球帝国秘密諜報員―ドミニック・フランドリー (ハヤカワ文庫SF)

 池澤春菜と仕事でメールのやりとりをしてる というのを、誰かから自慢された気がする…。
 さておき。
 池澤氏が年間五〇〇冊を読んでいるというので、自分もちょっとスピードアップに挑戦してみました。
 定期的に速読や、フォト・リーディングの本を読んで試してるのです。
 今回の対象は、SFスパイもの。
 地球帝国のスパイ、ドミニック・フランドリーの活躍を描く短編集です。
 だいぶ前に銅大氏がとり上げていたので買ってきて、そのままでした。 
 
 007のような、優秀なスパイが美女と時々いちゃいちゃしながら事件を解決する というもの。諜報機関の人間ですが、どちらかといえば、情報を得るよりは工作活動がメインです。
 地球帝国はすでに、衰退期に入っています。フランドリーのような男は、そこにローマ帝国のような繁栄と衰退を見て取り、未来が長くないこと、個人の力ではとめられないことを知っています。が、その文明を気に入っている彼は、わずかでも延命の力添えが出来ることに喜びを感じ、酒と女性を愛するのです。
 
 途中から、万能執事が出てきたり、シリーズを通してのライバルが出てきて、場合によっては酒を飲みながら語らったりするなど、あまり肩肘のはらない内容。
 007よりは、『パタリロ!』のバンコランや『トランジスタにヴィーナス』のイーナスに近い存在です。
 
 アクションシーンなどもありますし、美女も出てきますが、読みどころは、国家の存亡に関わるような事件を、どのような奇策でフランドリーが切り抜けるか というところにあります。
 
 貴族の余裕を感じさせる立ち居振る舞いなど、ウォルター・ジョン・ウイリアムスの怪盗ものなども思い出させます。
 
 ただ。
 今回は速読で試したせいか、後半部の中編などは錯綜するプロットなどが十分に理解できなかったこともあり、あまり楽しめませんでした。