空気なんて

 田中芳樹薬師寺ものの最新刊を購入しました。
 作中、「**だからって、君らは差別するのか!」という外国人に、お椋が「いいえ、日本人は血液型で差別するのよ」と答えるシーンがあります。
 あった気がします。
 
 今年、空気を読めといったようなことばがはやったといいますが、これは実に日本人的なものの考え方ですな。そして、そのまま、今年の漢字である「偽」につながる部分があります。「わかるだろ?」「みんなでうまくやっていこう」という「和」をかもしていくことは、偽装事件とその隠蔽体質につながっていきます。
 
 血液型占いがなぜ、はやるか。
 というより、なぜ、撲滅されないのか。
 会社の飲み会の席などで、血液型を聞いて話をつないだり、場を盛り上げようとするひとを見かけます。そこで「血液型で人の性格なんてわからないんだよ」というと、とてもいやな顔をされます。
 他愛のない話じゃないか。そりゃあ、科学的でないことは知ってるよ。でも、場を盛り下げたりすんなよ。
 こんな感じの思考が、伝わってきます。
 
 血液型占いが持ち出されるシチュエーションというのは、科学的な厳密性よりも盛り上がりを期待されるシーンが多いです。
 なので、血液型占いの話題が持ち出されてしまった以上、誰もその場で否定することはない。
 そして、安易で他愛のない話題のため多用されてしまう。
 こうして血液型占いは、日本社会でますます反映していくのです。
 ・・・こういうのも適者生存なのかしら。