レミーのおいしいレストラン

 『アイアン・ジャイアント』『Mr.インクレディブル』のブラッド・バード監督の映画第3弾。
 
 映像、音楽については非の打ち所がなく、焼けたフライパン、おいしそうなオムレツやねずみの毛並みはブルーレイディスク専用かと思うぐらいみごとなもの。
 でも、話に納得がいきませんでした。
 
 以下、ネタバレ気味の感想。
 
 
 
 ポスターを見てわかるように、本作は『寄生獣』『ヒカルと碁』のようなバディものです。これは相互に補い合うことで面白みを増す構造なんですが、一方がよりかかっているだけだと、大変不愉快な話になります。
 で、オチから見るとこの映画はその不愉快なほうに分類されます。
 主人公の人間は、何の努力もしてないのに、どんどんいろんなものを手に入れていますし、ほとんど何も失っていません。最後にあるエピソードはその報いかもしれませんが、あれではとてもとても。自分で選ぶということがなく、偶然に身を任せているのも納得しがたい。
 また、ヒロイン以下レストランの面々もその偶然に振り回されて、不幸に・・・。コックの立場は・・・。
 
 あと、佐藤隆太。この演技はやはり浮いていました。気弱な若者の演技 ということであれば、何とか受け入れられる というもの。
 
 本作は監督の持ち込み企画ではなく、ピクサー内で、何度も候補に挙がっては延期されてきたものだと聞きます。そのせいか、インタビューの記事を読んでも、”やりたかった仕事”とは読めません。さほど好成績ではなかったインクレディブルと、ピクサーの元トイ・ストーリー監督の間に何かあったのでしょうか。
 
 ロボット、スーパーヒーローと好きなものばかりとって来た監督の新作です。
 趣味が前面に出てないせいで、一般的な評判はよいようですが、その筋の人なら「ちがう!」といいたくなる内容でした。