変身

変身 (講談社文庫)

変身 (講談社文庫)

 読了。
 事件に巻き込まれ、脳の一部を欠損した男が手術により一命を取り留める。しかし、徐々に人格の変化が起き始める・・・。
 
 非常にうまく書かれていて、引き込まれるものの、新味、新機軸、意外性にとぼしいのが、欠点。
 瀬名氏のように、もっとネチネチと脳化学の部分を書いて欲しい。
 
 脳移植はわりとブラックジャックに良く出てくるネタで、SFでも多分、多い。でも、なかなか新機軸というのは思いだせません。似たようなもので、印象的だったのは『SF新世紀レンズマン』の意識統合の場面。原作にはそういう記述は見つからなかったので、ノベライズ担当のオリジナルかと思うんですが、なぜだかそっち方面での評判は聞かない。アニメ界ではベテランで、その後、任天堂キャラクターのカービーのアニメ監督なども手がけている方なんですが、なぜ、あれが、あの時だけ傑作だったのか、いまだに謎です。
 ・・・ゴーストライターかしら?
 レンズマンのアニメはメカ、人物、などの作画に見どころが多いので、機会があればどうぞ。
 
 脳移植ネタで、もひとつ思い出されるのはシェフィールドの『マイブラザーズキーパー』。
 洋画の先取りかとも思えるひねりのない邦題は置いておくとして、双子の脳の一部を移植された男のスパイもの。成り行きから双子の逆のフリをするんですが、エッチなことをした時に、正体がばれてしまいます。テクニックに関することではなくて・・・。
 脳科学的に見ると、これも荒唐無稽といってよい物語のようだ、と漫画家の山本氏が語っていたのは『超人日記』だったような気がしますし、それを指摘した相手というのが鹿野司氏ではないかというのが長年の疑問だったのですが、それを確認したいと思っていたのにSF乱学講座にいかなかったことを後悔している今日この頃皆様いかがお過ごしでしょうか。
 昨日のSFファン交流会もいきませんでしたし、今日のYMCAでのミステリ談義も気になるのですが、やっぱり行けないのでした。
 
 ・・・何の話でしたっけ。