俺は非情勤

 『俺は非情勤』読了。
 なんという読みやすさ。
 非”情”勤とあるように、ハードボイルド風味の短編集。
 25歳、小学校の非常勤講師で糊口をしのぐ青年が、学園内で起きる盗難事件や殺人事件を解決するというもの。ミステリ作家になるのが目標、というのは本音なのか韜晦なのかわかりませんし、口調からは教師という仕事に対する愛着はないのですが、自身の美学で生徒に接するさまはさわやかな読後感をもたらします。
 本醸造酒を思い出すような、さらり すっきり といった味わいで、あとにあまり引かない。
 再読したいと思うような本ではなく、手軽にちょっと風味の違うパズラーを読んでみたい方にお勧め。