SF研究会 その2

 ちゃんとフォローを。
 冗談であることと、出典があることをもう一度。
 

「きみはどんなSFが好きなんだい」
「そうですねえ、ディックなんか結構 良かったですね」
「ディック?」
「ディックといったか」
「何を読んだんだ」

 ここら辺は、JICC出版局別冊宝島79『世紀末キッズのためのSFワンダーランド』が出典です。うろ覚えですが、内容はほとんどそのままで、umiyuriさんがおっしゃっておられる「フィル」というのも、その中にあった文章です。
 パロディとも言えない内容で、記憶を頼りに復元したものです。
 正確な書名が分かったのでここに書いておきます。
  

ガンダムが好きなんです」
などと言おうものなら、ぎろりんちょ と睨まれて、厳かに かつ はっきりと
「あれはSFではない」

 これはSF作家 高千穂遥が同種の発言をした という噂(原本に当たっていません)を基にしています。自分が読んだのは、近年になっての安彦良和との対談でしたが、そこでは「ガンダムはSFではない」という発言については否定していたように記憶しています。
 もうひとつ、参考にしたのは、おそらくはモデルグラフィックスです。これも記憶に頼っていますが、そこには「今では信じられないだろうが、昔はガンダムがSFだと言おうものなら、先輩からガンダムがSFではないということを叩き込まれていた。こういったことが全国各地で見られたものだ」という趣旨の文章がありました。
  

 最初のGWなんかはSFセミナー前にきっと、合宿があるんですね。それで
「よく来た。お前らのようなケツの穴を一人前のケツの穴に仕上げるのがおれの仕事だ。わかったかあ」
「サー、イエッサー」

 SFセミナーというのは、毎年ゴールデンウィークに行われる講演形式のSFイベントです。ただし、夜の部もあって、そちらは合宿形式で、参加型・講演型とさまざまな形式をとります。
 よくあるシーンですが
 

防衛軍が勝利した例はない。

 というのはガンダムの元ネタでもある『宇宙の戦士』に出てくる主張で、この罵倒シーンは『宇宙の戦士』『ふもっふ』『老人と宇宙』を参考にしています。
  

さいわい条約は解除されたが、(中略)『パラサイト・イヴ』事件を知ってるだろう?

 先にあげたSFセミナーで作家の瀬名秀明が「今後5年間、『これはSFではない』というのをやめよう」という発言をしたことを指しています。
 この約束は(半ば冗談にせよ)比較的よく守られましたが、下記のアドレスにある氏 自身の発言通り、2006年に期限が切れてしまいました。
 http://news.senahideaki.com/article/17474557.html
 

”SF氷河期はあったか?”(中略)
サイファイ(Sci−Fi)とはなんだ”

 いろいろな視点はありますが、SFが売れない、SFというレーベルでは本を出してもらえない、SFの出版点数が減った といわれる時期が90年代にありまして、『本の雑誌』でこのSF氷河期に関する特集が組まれたことをきっかけに、いろいろな論争が巻き起こりました。
 サイファイ というのは、当時ベストセラー作家だった梅原克文が、この論争のさなかに提唱したレーベルで、大衆娯楽SF(っぽいもの)をこのように呼ぶことで、どんどん売り出していこうというものでした。
 とはいえ、SFファンにはこの運動は総スカンをくらったといってよく、また「サイファイ」という言葉が一般に浸透することはなかったのです。