SFファン交流会

 SFファン交流会というのがありまして、前から気になってたのです。
 今回は海外SF特集だというのでなんとなく顔を出してみたのです。
 2次会にもなんとなく行ってみました。
 
 たまたま隣に座ったのはいまどきの若者にしては大変礼儀正しい大学生、ふたり。
 見た目もあまりオタクっぽくは見えないのに、このご時世にちゃんと海外SFを読んでるとてもとても将来有望な若者たち。
 彼らは。
 なんと。
 大学にSF研究会を作りたいというのです。
「僕らの大学にはSF研究会がないんです。だから、僕たちで作ろうと思うんですが、思ったほどメンバーも集まらなくて……」
 
 ふむふむ?
 
「今度2年になるんで、1年生もなんとか引き込みたいんです」
 
 えらい。えらいねえ。
 ところで、どこの大学かね。
 
「××大学です」
 
 酒を吹き出すかと思いましたよ。
 AA略ですよ。
  
「それって、あのう、市ヶ谷じゃないよね?」
「多摩です」
「……そうか。すいませーん、ナマチュウひとつー!」
 
 
 そして、『ペンタグラム』を片手に、とくとくと歴史を、あることないこと織り交ぜてそれはもうドラマチックに語って聞かせた……かもしれません。
 
 君たちは知らないだろうが、昔は、その大学にもSF研究会があったんだ。
 というか、すいません。
 私の後輩の人が、それ、つぶしました。
 
 
 
 
 
 
 
 だけど、仕方がなかったんだ。人数が減ってテーブルトークRPGサークルに吸収合併されて……そしてそのサークルも数年前に解散して今はもうない。
 最期の会長はいろんな理由があって、行方不明なんだ。
 そのSF研究会のひとたちの中には、いつまでたっても5巻を出さないライトノベル作家とか異形コレクションに文章を書いてる人がいて、コミケでも本を出してたよ。
 
 うん。
 そう、友達が言ってた。
 その大学ではSFマガジンをずーっととってるだろう?
 捨てるって言うんで、200〜300冊くらいかなあ、1、2週間かけて持って帰った人がいたんだ。とても重かったよ。……って、友達が言ってた。
 だから、バックナンバーが抜けてるんだよ。
 
 
 
 ……って、友達が言ってました。