書き出し
- 作者: 早川書房編集部
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/12
- メディア: 単行本
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でも、冒頭の文章を読んで、本文を当てられたのは、ドイル、アイリッシュ、クイーン、アシモフ、フレミングなどなどくらい。
ルブランはちょっと考えました。
ケメルマンの冒頭はこんなだったのですなあ。
自分でも本棚にあったのを適当に抜き出してみました。
なるほどなあ と感心するものもあれば、ずいぶん平凡に見えるものもあります。
ジョージ・H・ダーウィン卿によれば、かつて、月は地球のたいへん近くにあった。これをだんだんと遠くへ押しやったものは潮である。
「ブロー!」艦長のマクラウド大佐がいった。
「はい、艦長(ダー、カビタン)」赤毛で獅子ッ鼻のイワン・ミハイロヴィッチ兵曹は、わざとロシア語で答えてニヤッと笑った。
レイニーはスリット・スキャンを辞めたあと、シャトーの夜間警備員のライデルから新しい仕事を紹介された。
彼の名はリュウ。姓は、あとになってから一度だけ重要な意味をもつことになるが、ここでは触れる必要がないだろう。
まさに危機一髪というところだった。アレグザンダー・ジョーンズは、しばらくのあいだ、まだ生きているという単純なよろこびに浸っていた。
少年は、ハイ・スクールの野球場の観覧席の下で、胸のむかつくような行為の現場を発見され、通りを隔てた初等中学校から追い返された。彼はそのとき八歳だった。
奇術師群衆をたぶらかす?
(1951年6月11日) 何百人という人々が、一見銃砲店ふうの奇妙な建物の幻を見るという事件が起きた。
確かに事実なのだ。飛び去ってゆくクレーター地帯を見つめながら、ポール・スミス少佐はそう思った。火星にはほんとうに生命が存在する。
その部屋はくさかった。氷に埋もれた南極基地だけにある奇妙な混じりあった臭いだ。
ファイロ・ヴァンスが非公式の捜査官として参与したすべての犯罪事件のうちで、もっとも陰惨で、もっとも奇怪で、見たところもっとも納得のゆかない、確かにもっとも戦慄すべき事件は、あの有名なグリーン家殺人事件につづいて起こった事件だっだ。
――うう、もれちゃいそう……。
津田美雪は、また左右の足の位置をかえた。
この書物が印刷されて、まさに世に出ようとしているときになって、文体と内容の両面における不満感が、わたしの心をなやましている。内容について、ことわっておきたいのは、これが私たちの見聞や行動のすべての詳細な記録ではないということだ。
「沖縄でしけをくったときは、おっかなかったなア、ググッ……と山のてっぺんまで持ち上げられたかと思うと、ズズ……っと谷底へひっぱりこまれるような気がして、フッと見るってえと屏風のような大波が今にもおっかぶさるようにつっ立ってるだろう、俺アもうだめだと思ったよ」
だから友よ/生(き)の酒を飲め……と続く、作者不詳のこの詩が好きだ。
安治川尻に浪が立つのか、寝しずまった町の上を、しきりに夜鳥が越えて行く。
びッくりさせる、不粋なやつ、ギャーッという五位鷺の声も時々、――妙に陰気で、うすら寒い空梅雨の晩なのである。
柔らかな風に柳が薫り、花の香が人を酔わせる。南国、春爛漫の季節である。
福建省福州府の西門大路、黒い石畳の道がまっすぐに延びて、西門まで直線に通じている。
過去二五年間、自然死・疾病・事故によらぬ原因で死亡した人類の総数は約八八四〇万人であった。
そのうち約三六〇〇万人は、人類標準時二一七二年九月八日午後三時一七分から一八分四八秒のあいだに命を絶たれた。
わたしはおそらくこの高校で唯一の、携帯電話を持っていない女子高生だ。その上、カラオケにも行かないし、プリクラを撮ったこともない。
氷のようにつめたい母の手がかれの手を握りしめていた。急ぎ足に通りを歩いてゆくうちにも、母の不安が小刻みなパルスで心に伝わってくる。
こんなゲームを御存知であろうか。
まず、トランプのカードを用意する。ゲームに参加する人間は八人ならば八枚。
……ブギーポップの話は、僕にとってはかなり気の重いことである。いまだに心の整理がついていない。
もうあいつはこの世にいないのだが、そのことでほっとしているのかどうかもよくわからない。
変なヤツであった。
月世界にただ一隻しかない船の船長であるというのは名誉なことであり、パット・ハリスはその名誉を満喫していた。
めちゃくちゃ気持ちいいぞ、と誰かが言っていた。
だから、自分もやろうと決めた。
山ごもりからの帰り道、学校のプールに忍び込んで泳いでやろうと浅羽直之は思った。
合成映像。英仏海峡横断飛行船”ブルネル卿”号の護衛機によって光学的にエンコードされたもの――一九〇五年一〇月一四日、シェルブールの郊外の空からの景色。
大邸宅、庭園、バルコニー。