柳家喬太郎 赤いへや

 喬太郎師匠の創作落語アルバムに入っていた「赤いへや」を聞いて、おや? と思ったので、ネタバレしつつ内容を紹介。
 
 金持ちたちが退屈している。
 おおよその娯楽を味わい尽くし、もう何も楽しみがない。酒を飲んでもうまいと思わない。
 どこか、我々を楽しませてくれるものが・・・。
 
 金持ちたちは非毛氈を敷き詰めて赤に整えた部屋で、剣呑な話を続ける。退屈紛れに男を抱いてみたこともあったが、それも飽きた。
 その金持ちの前で一席やった後、落語家はいう。
 わかる と。
 自分も食うには困らなかったがどうにも刺激がない。
 刺激がないと言うんで、落語家になってみた。
 修行は面白かったが、飽きたころに二つめと、また飽きたころにと昇進していまでは師匠と呼ばれるようになったが、やはり飽きた。
 そんなある日、死に触れる機会があった。
 事故にあった人にうっかりヤブ医者を教えてしまった。
 そのせいでその人は死んでしまったが、罪に問われるわけではない。
 なるほど と。
 ある日、踏切を渡ろうとしている老女に声をかけた。「いそげ! あぶないぞ!」びくっとして、老女の脚が一瞬とまる。止まらなければ渡れたのだが・・・。
 だが、わたしは急げ といったのだから罪には問われない。
 あるときには、友人と海へ飛び込んだ。
 どこに岩があるのか、私は知っていた。私が跳びこんだそのとなりにもあった。友人は何も知らず、いっしょに跳び込んだ。
 
 そうして99の殺しを重ねてきた。
 
 よしなよ師匠、酒がまずくなる。
 
 まずくなる? あんたがたぁ、酒 おいしくないんでしょう。
 ところでここに。おもちゃのピストルがありますが・・・。
 
 
 オチまではいいませんが、おや と思うのが、まず赤い部屋。半村良の『石の血脈』もしくは今度、日本SF全集に入るはずのあの短編を思い出させます。赤い部屋で、同性ともやる なんてのが似てる。
 可能性で殺すと言えば、海外に有名な探偵のラストエピソードがありますが、まあ、それはおいといても、海に飛び込むのは、これは江戸川乱歩でしょう。
 
 全体の話は、ボケ防止のためにと、殺人の手伝いをさせられる老婆 という星新一の短編を思い出させます。
 
 
 そこら辺、どうなのでしょう と、気になったので、詳しい方に説明を聞きたいところです。